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Publication date: 11 Dec 2024

IDCの市場予測:AIは2030年までに世界に19.9兆ドルの経済効果をもたらし、2030年には世界のGDPのうち3.5%がAIに起因するものに

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AI投資1ドルごとに、4.60ドルの経済効果がもたらされる

Japan, 2024年12月11日 – IDCが新たに発行した調査レポート「The Global Impact of Artificial Intelligence on the Economy and Jobs ( AI が経済と雇用に与える世界的影響) 」で、企業がAI(Artificial Intelligence:人工知能)を導入し、企業および消費者顧客に業務変革やより良い製品やサービスを提供するために行う支出は、2030年までに世界において累積で19.9兆ドルの経済効果をもたらし、2030年には世界のGDPの3.5%がAIに起因するものになると予測されています。その結果、AIは世界のあらゆる地域の雇用に影響を与え、コンタクトセンター業務、翻訳業務、会計業務、機械点検業務などの産業に影響を及ぼすことになります。ビジネスリーダーのほぼ全員(98%)がAIを自社の優先事項と考えていると回答し、この変化を引き起こす要因の一つとなっています。

AIが世界にもたらすプラスの経済効果

この調査によると、2030年には、ビジネス関連のAIソリューションやサービスに新たに投資される1ドルごとに、間接的および誘発的な効果として世界経済に4.60ドルの効果をもたらすことが分かりました。これは以下の要因によるものです。

  • AIの急速な普及に伴うAIソリューションおよびサービスに対する支出の増加
  • AI導入の結果生まれる生産性の向上や新たな収益源の創出など経済価値/効果
  • AIソリューションおよびサービス事業者向けテクノロジーベンダーの収益拡大を通じたAIプロバイダーのサプライチェーン全体に及ぶ経済効果

IDCのEmerging Technologies and Macroeconomicsのシニアリサーチアナリストである Lapo Fioretti は「2024年、AIは広範な統合によって特徴づけられる加速的な開発と展開の段階に入り、それに伴い運用コストと時間の大幅な最適化を目指した企業の投資が急増した。AIは定型業務の自動化と新たな効率性の実現によって産業を再編し、新市場を創出し、競争環境を変化させるなど、根本的な変革を伴う広範な経済的影響を及ぼすだろう」と述べています。

雇用への影響 - 新たな役割の出現と既存の役割の持続

IDCの調査「Future of Work Employees Survey(働き方の未来に関する従業員調査)」では、回答者の大半が今後2年間で、AIやその他のテクノロジーによって自身の業務の一部(48%)または大部分(15%)が自動化されると予測しています。一方で、AIによって完全に自動化されると予測している従業員はわずか3%に留まっています。

AIの普及によって一部の仕事にマイナスの影響が出る一方で、AI倫理スペシャリストやAIプロンプトエンジニアなど、新たな職種がグローバル組織内の専門職として出現すると考えられます。

さらにこの調査によると、各職種を「人間的な触れ合いの度合い」と「タスクの反復性」という2つの視点で評価すると、AIと自動化によって完全に置き換えられる可能性のある役割と、人間の能力を補完する技術の役割を果たす職種とに分類されることが分かります。そのため、看護師のように人間の社会的および感情的能力が不可欠な職種や、倫理観や数値以上の理解力を含む意思決定が必要な役割は、引き続き堅調に推移するでしょう。

「AIが私たちの仕事に取って代わるかどうかを知りたがるのはよく理解できる。IDCのAndrea SivieroがインタビューしたあるCEOは『この調査に基づけば、私たちが自問すべきは、AIによって自分の仕事がどのように楽になり、より良くなるかということだ。AIがあなたの仕事に取って代わることはないが、あなたよりもAIをうまく使いこなす人があなたに取って代わるだろう』と語っていた」とIDC Worldwide ResearchのグループバイスプレジデントであるRick Villarsは述べています。

調査手法

あるテクノロジーやサービスの全体的な経済的影響を推定するために、IDCは市場に関するIDCの知識と内部データを、経済効果分析として知られる標準的な分析フレームワークと組み合わせた経済的影響評価手法を開発しました。この手法は、特定の経済の最新の公式な産業連関表を使用した投入産出(I/O)分析フレームワークを活用しています。I/O表を通じて、特定の乗数が決定され、特定のテクノロジーに適用されて関連する効果を算出します。このIDCの経済影響分析は、経済に対する3種類の影響を評価します。このAI特有のモデルでは、以下のものが含まれます。

  • 直接効果:AIビジネスソリューション/サービス事業者が製品をエンドユーザーに直接販売することによる収益が含まれます。
  • 間接効果:AIサプライチェーンとAI採用企業の利益に関連する経済的影響を指します。これには、AIの提供に関連する組織/テクノロジー事業者の事業が地域や国に与える影響が含まれます。

・「後方間接効果」とは、AIを利用する部門にインプットを提供するサプライチェーンや産業分野への経済効果を指します。つまり、AIの影響を受けたローカルな産業で生み出される収益のことです。

・「前方間接効果」とは、消費者を除くAI採用企業における効果を指し、生産性、収益成長、その他のビジネス指標の点で、AI技術の採用から得られる利益のことです。

  • 誘発効果:これらは生産性の増加によって誘発される効果です。直接的および間接的な効果層を通じてAIバリューチェーンに関連する既存および新規雇用の従業員を含む、世帯収入の増加による経済的刺激の影響を指します。人は得た賃金の一部を、消費活動で経済に還元します。それによって新たな経済効果が生まれ、経済の活性化につながります。

「経済的影響モデルの重要性が高まっています。この種の分析は、短期または中期的に特定の製品やサービスがもたらす影響を把握したいベンダーにとって重要となるでしょう。このモデルは、企業だけでなく、政府やその他の利害関係者が、たとえば経済に対する技術投資の潜在的な利益を評価することで、情報に基づいた決定を下すのに役立ちます」と、IDC Data and AnalyticsのリサーチマネージャーであるCarla La Croceは述べています。

IDCの調査レポート「The Global Impact of Artificial Intelligence on the Economy and Jobs: AI will Steer 3.5 % of GDP in 2030 ( AI が経済と雇用に与える世界的影響: 2030 年には AI が GDP の 3.5 %に影響を与える) 」は、経済産出と雇用の観点からAIの影響を評価しています。本評価は、IDCの市場知識と内部データに加えて、経済に対するAIの直接的、間接的、誘発的効果を考慮したIDCの経済効果要因モデルを活用しています。この調査は、AIが経済に与える世界的な影響について深く掘り下げ、特定の地域、技術層、産業に焦点を合わせ、2030年の予測世界GDPに対するAIの累積的な経済貢献を評価することを目的としています。



IDCについて 

International Data Corporation(IDC)は、情報技術、通信、コンシューマーテクノロジー市場における市場情報、アドバイザリーサービス、イベントのグローバルプロバイダーです。世界中に1,300人以上のアナリストを擁し、IDCは110カ国以上でテクノロジー、ITベンチマークと調達、業界のビジネス機会とトレンドに関するグローバル/地域/ローカルの専門知識を提供しています。IDCの分析と洞察は、IT専門家、ビジネスエグゼクティブ、投資コミュニティが事実に基づく技術的な意思決定を行い、主要なビジネス目標を達成するのに役立ちます。1964年に設立されたIDCは、世界有数のテックメディア、データ、マーケティングサービス会社であるInternational Data Group(IDG)の完全子会社です。詳細は idc.com/jp をご確認ください。またIDCの日本法人であるIDC JapanのX(旧 Twitter)(@IDCJapan )やLinkedIn も、フォローしてあわせてご覧ください。

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* 本プレスリリースはIDC: Artificial Intelligence Will Contribute $19.9 Trillion to the Global Economy through 2030 and Drive 3.5% of Global GDP in 2030 の日本語版です。



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